エンマ様の通信簿

はじめに

(声の出演 エンマくん:VOICEVOXずんだもん)
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エンマ様の通信簿

「悩めるって素敵

ボク、お茶目な神さまから
大切な役目を仰せつかりました

はじめに

エンマ様から君へ

僕、さっきからもう、頬が緩みっぱなしなんだ。
だって、やっとやっと今日という日がやって来たんだもん! うれしくってたまらないんだ!
何がうれしいかって?
君にこの話をできることなんだよ。
僕は知っていたよ。
君が悩んでいたこと。
自分に自信がなくて、すぐに人と比較してしまって、凹んで、自分が嫌いになって・・・。
「人生を楽しめない、何とか私に自信を付けさせて~!」
という君の叫び、聞こえていたよ。
そんな君を見ていて、僕は、伝えたくて伝えたくてウズウズしていたんだ。
この世界のことやあの世界のこと。
でも、神さまが言うんだ、
「まだダメよ。今は見守っていて」
なんてさ。
だから我慢していたんだ。
それが今回、「もういいよ」って、神さまが。
よーし、やっと来た! 僕はガッツポーズ。うれしくてワクワクだよ。

アッ、自己紹介を忘れていたね。
僕の名前はエンマ。
「エンマ様」っていうと「地獄の門番だ」と思っている人が多いよね。
言っておくけど、僕は地獄の門番なんかしてないからね。そもそも地獄なんてないし。
もちろんあんな怖い顔なんかじゃ絶対にない!
それに、地獄の閻魔様って僕が生まれるずっとずっと前からでしょ。だから僕のはずがないのに。それなのに神さまは「そんなこともあるかもね、フフ」だって。
とにかく、あの閻魔様の「かわいいバージョン」が僕、という感じかな、うん。
僕が持っているシャクは、実はとってもすごいものなんだ。
シャクって、聖徳太子や神主さんが胸の辺りでうやうやしく持っている、あの細長い板のことね。
そのシャクを僕はただカッコつけて持っているわけじゃないんだよ。
そのシャクの秘密、あとで話をするね。

僕の役目は「地獄の門番」ではなくて、みんなが人間としての一生を終えてあの世に戻る時に、通信簿を渡すことなんだ。

この世でどれくらい頑張ったかがわかる通信簿。

 通信簿って言うと君は言うかもしれないね。

「通信簿なんていらない! だって、点数悪いに決まっているもん」

ってね。

そう思っているのがわかるから、僕は君に伝えたくて仕方がなかったんだ。

君は、自分は頑張っていないって思っているかもしれないけど、とっても頑張っているよ。

そう言っても君は「そんなことない。本当に頑張れないんだから。頑張らなきゃって思うけど頑張れないんだから」って言うかもしれないね。

でも、本当なんだ。本当の本当に君は頑張っているんだよ。

そのことも、これからの僕の話で、分かってもらえたら、うれしいなあ

君の通信簿の点数だって、すごい点数になることだってあるんだ。

もしかしたら、フィギアスケートのゆづる選手よりもいいかもしれないんだよ。

そんなこと言うと、君は

「それは絶対絶対にないよ! だってゆづる君だよ。頑張り屋さんで、性格もかっこよくて、世界中の人を感動させているんだから!」

って言うかもね。でも、本当に君のほうが上かもしれないんだ、本当に!

というのも僕が渡す通信簿の点数は、君が思っているようなつけ方じゃないんだ。

それがわかると、自信がなくてもいいし、人と比べてもいいし、凹んでも、自分が嫌いになってもいいってことがわかるんだ。

というか、それこそがとても大切なことなんだってことがわかるんだ。

そして、自分が愛おしくなって、周りに愛おしい人や物が増えて行くことになるよ。

そして、次のステージに行ってほしいんだ。自分や周りの存在が愛おしくなった先のステージにね。

 

 僕が今から話すことは、人によっては、ただの作り話だって片付けられるかもしれない。

でもきっと君は、何かしらのインスピレーションを受けとってくれる、そう思うんだ。

 とはいっても、これから話す僕の体験をすべて信じる必要は全くないよ。

「それって変じゃない?」と思っても全然大丈夫だからね、本当に。

僕の話を聞いてもらったら、この世界観で自分のことや自分の周りのことを眺めてみてほしいんだ。眺めるだけ。

「エンマくんはこう言っていたなあ」って感じでね。

そうすると自分のことを少しずつ愛おしく思えてきて、周りにも愛おしいものが増えてきて、次のステージ、その次のステージって進められるからね。

あー、うれしいなあ!

君がそうなっていくのを想像するだけで僕はもうたまんないよ!

アッ、それと僕、前は普通の人間だったんだ。

君のように自信がなくて、人と比べてすぐ落ち込む子だったんだ。

これから話す話はね、そんな人間だった僕が、神さまの世界に行って、そして神さまから通信簿をみんなに渡す役目をもらうようになるまでの話なんだ。

この話の中で、「この世」とか「あの世」というのがよく出るけど、神さまの世界から見ると神さまの世界こそが「この世」で、人間の世界が「あの世」になるし、人間の世界から見ると逆になるよ。

念のため言っておくね。 

 

じゃあ、前置きはこれくらいにして、さっそく僕の体験の物語を始めます!